— 展示室5 —
日本を代表する作家による水墨画や美人画などを展示しています。
横山大観、橋本雅邦、上村松園など、近現代の作家の様々な作品をご覧いただけます。
作品の一例
《鷽》
作者 :横山大観
1868年(明治元年)水戸藩士の長男として生をうける。明治22年、東京美術学校(現東京藝術大学)の第一期生として入学し、終生の師とする岡倉天心と出会う。天心の唱えた西洋画にみる遠近法や、大観の代名詞ともなる「朦朧体」いわれる空刷毛を使用した空気や光線の表現方法は、当時の日本では受入れ難い新しい手法であった。大学同期である菱田春草と色彩研究にも力を注ぎ、明治36年から数年にわたり、ヨーロッパやアメリカでの渡航において色彩探求がなされた。朦朧体表現からさらなる色彩表現へと飛躍したのであった。
本作は、日本の自然美をこよなく愛した大観が、昭和初期頃に好んで題材とした野鳥である。鷽(うそ)の毛並み一本一本までも繊細に描き、得意とする空気感の表現や、大木の輪郭を大胆に滲ませ画面に奥行をもたせている。発色の美しい緑色や大正琳派ブームを思わす金粉の使用は、大観の表現技法が集約された作品といえる。